『プロテクター』1985年公開
ワーナー・ブラザーズとゴールデンハーベストの合作。
ジャッキー・チェンの自伝『僕はジャッキー・チェン』によれば、『ダーティハリー』のような作品を意図していたジェームズ・グリッケンハウス監督とジャッキー・チェンは撮影中から相当に反発し合っており、特にアクション関係の演出について2人は決定的に意見が食い違っていた。このため作品の出来に不満なジャッキーが制作元のワーナーに詰め寄り、最終的にアジア圏で公開するバージョンについてはジャッキーが監督として修正を入れることを承諾させる(この行動に、ゴールデン・ハーベスト側のレイモンド・チョウ社長はワーナー社との契約違反となることを危惧したが、最終的には改訂のための費用は全てジャッキーが個人で捻出し、ジャッキー自身の責任において行うことで目をつぶっている)。
作品の改訂権を得たジャッキーは直ちに脚本の改訂を行い、出演者たちを再び集め、さらには新たな登場人物を追加し、ほとんどのアクションシーンをジャッキーが監督して撮り直しを行い、グリッケンハウスが完成させたものと差し替えを行った。さらにジャッキーが「自分の作品に相応しくない」として、ダーティハリー風に口汚く罵るような台詞のシーンや、敵の秘密工場で全裸のままで稼働する女性工員のシーンなどを悉くカットしている。こうして本作には、欧米圏で公開されたオリジナル版(グリッケンハウス版)と、東南アジア圏で公開されたジャッキー版の2種類が存在することになった。
結果としては、オリジナル版はジャッキー本人にとっては大変不満な出来でありアクションカットも平凡な作りだが、アメリカ映画として見るならば統一感のある作品に仕上がっており、ジャッキー版はアクションシーンは見事なリテイクとなっているものの、グリッケンハウスとジャッキーの演出が混合し、さらに英語音声(オリジナル版から残ったシーン)と広東語音声(ジャッキーがリテイクしたシーン)が混在するなど、継ぎ接ぎで作られた印象が強い。
本作のビデオやDVDソフトについて、現在オリジナル版はアメリカを中心にソフト化されているが、それ以外の国では主にジャッキー版を発売している。オリジナル版の発売国は少なく、レアな作品としてかえってジャッキーのマニアにとっては支持の多い珍品となった。
「ウィキペディアより掲載」
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